英語嫌いの 胸を躍らせる有限会社ラーナーズジム

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ブログ

『門』を読み終えて

2015/01/08

先日、夏目漱石の『門』を読み終えた。こちらも約1か月ぐらいかけてゆっくり読んだ。一言でいうと、クライマックスも特になく、平坦な物語であった。日本の場合、平凡な生活は、狭い住宅で暮らすことと同義でもあるので、この物語であらためて、日本の狭い住宅事情はこのころから変わっていないことがわかり、妙に親しみを感じてしまった。いずれにせよ、若い頃に読んでいたら、途中で投げ出していたに違いない。しかし50の坂を超えると、この平坦さがたまらなく愛おしくなってくるのだ。推理小説であれば、喫茶店に何時間へばりついてでも、その日のうちに読み終えないと気が済まない私。しかし、『門』においては、そんな急展開の話もないため、毎日寝る前に少しづつ読み続けた。その結果、読み終えた後も、週に1回程度あいさつをする近所の親戚のような感じで、いつまでもあの世界が心に残っている。平坦な小説も映画も、一歩間違えば超退屈な作品になるわけだから、とりたてて大事件もなく、読者や視聴者を最後まで付き合わせる表現技術って、実はすごいと思う。これは私がいつも言うことなのだが、人生の前半で英語というやっかいな問題を手なずけておくと、人生後半、いよいよ英語とまったく無縁の素敵な人生の時間が待っているのだ。英語が大嫌いな私は、いよいよ、英語から解放され、日本語と戯れる充実した生活を楽しんでいる。しかも、一度外国語にもがき苦しんだ経験があればあるほどに、このぜいたくな”日本語だけに囲まれて思索にふける時間”の価値が一層身に染みてくる。わが言葉、日本語を徹底的に愛するためにも、一度外国語という一種外の空気を吸っておくのも決して悪くはないと思う。